どうも、相変わらず体調の浮き沈みを繰り返しているAraiです。いい加減に健康体をキープしたいですね…。
大した話ではないですが、最近またウマ娘(ゲーム)にハマっています。何がそんなに?というとシナリオですね。各キャラのシナリオとはまた別にメインストーリーがあるのですが、その第二部にまんまと泣かされてしまいました。現実の馬と人が紡いだ物語をベースに、競馬が持つ栄光、歓喜、挫折、苦悩、悲哀、熱狂、感動…良いことも辛いことも含めてしっかり描かれており制作陣の愛を感じました・私もまだまだ道半ばですが、自分の道を切り開くことと同時に自分が学んだことを後世に有意義に残せるように頑張りたいと思いました。気になった方は是非読んでみてください。
ということで今回は気分転換にコラムを書いてみたいと思います。コラムは運転を上達するために必須の内容ではないのですが、中々一般に語られない本質的な内容にフォーカスしてみたいと思います。探求心がある方に向けた内容なので少々マニアックですが、こういった内容が好きな方は恐らく私と美味しいお酒が呑めるかと思います。今回もよろしくお願いいたします。
低速で軽い人体と高速で重い車
さて、画面の前の皆様に質問です。車の運転、難しいですか?経験が浅い方は当然難しいと感じるでしょうし、慣れている方はもう簡単に感じるかもしれません。そんな方でも昔を思い返せば最初はやはり苦戦したと思います。実際に運転するまではきっと、当たり前に運転する大人達をイメージして簡単だろうと思っていたのではないでしょうか?ところがいざ運転してみると実に難しくて恐ろしい…少なくとも私はそういった感想を抱きました。
そもそも大前提として車の運転は非常に難しいものです。冷静に考えて欲しいのですが、人の身体が直接制御できる速度と重量はせいぜい20km/hに100kgといったところではないでしょうか?ところが車の運転となれば一般道でも60km/h、最近の車なら1500kg程度の物体を制御下に置く必要があります。エネルギーで計算すると100倍を優に超える違いです。モータースポーツとなれば200kmオーバーも当たり前ですが、この場合はなんと1500倍にもなります。果たしてこれだけのエネルギーが引き起こす現象を本能だけで正確に予測できるものか…。これだけでも生来人間に扱える代物ではないのがお分かりいただけますでしょうか?
さらに、車というのはその車の特性や置かれた状態によって挙動が大きく変化する代物です。ビークルダイナミクスを勉強されている方ほどその因子の多さと変化の大きさをよくご存じと思います。ただ扱うだけでも難しいのに、車を乗り換えたり、乗員や積載条件、天候や路面状況、速度や車のコンディションによっても運動の仕方が変わってしまう。そんな機械の動きを予測することが生まれながらに出来る人間は恐らくいないと思います。
インターフェースに潜む落とし穴
前述の通り、車と人体では物理的特性が大きく異なるため扱いが難しいのですが、それに輪をかけて難易度を上げているのがインターフェースの問題です。皆様は身体を動かしたいと思えばそのまま動かせますね?対して車はペダル、ハンドル等のインターフェースを操作しないと動かせません。何をどう操作すればどのくらい動くのか、分からないうちはおっかなびっくり操作するほかありません。とりあえず操作してみて、車の反応を見ながら修正に修正を繰り返して走行…当然、それらを同時に操作するなんて高等技術は不可能です。
そして、あまり知られていない重要な問題がここに潜んでいます。それは「遅れ」です。人体であれば自分で念じて身体を動かし、その結果を五感で感じてまた次の行動に移るというループを繰り返すと思います。車の運転も同様にいわゆる「認知→判断→操作」というループを繰り返して実行されます。ここで重要になるのが時間と速度の概念です。運転の場合、人体の神経系の伝達時間に加えて車の伝達時間が加わって情報が伝わります。具体的に言えば、脳→神経→筋肉→ハンドル→車体→タイヤ→車体→ハンドル&シート→神経→脳、といった具合に情報の伝達が行われます。そして同時にそれだけの時間がかかる、といったことが非常に大きな問題です。つまり、実は「認知」の時点で既に情報は過去のものであり、「操作」は過去の情報から未来を「判断(予測)」して行わなければならない…これが運転の最も難しいポイントです。そして速度が上がれば上がるほど、この予測精度が大きく運転の明暗を分けます。速度が上がるにつれてこの伝達ロスの間に車が進む距離が増え、認知はどんどん過去に、予測はどんどん未来にシフトしていきます。それだけでも苦しいのに車は速度が上がるにつれて物理的に安定性が低下し、エネルギーは速度の二乗に比例して激増してゆく…。これが、モータースポーツの難しさとリスクの本質だと私は考えています。
それでも、だからこそ
同時にそれが他では得難い達成感や爽快感、言い換えればモータースポーツの魅力の根源でもあるのかなと思います。超人的な技術を競い合い、本来人類には成し得なかった速さを支配下に置く…。人間が本質的に持つ速さへの憧憬をこの上なく分かりやすく体現した存在であるからこそモータースポーツは有史以来一定の支持を得て来られたのではないか?と思います。
運転が速く、上手くなることは楽しく、そして速いドライバーは格好いい。少なくとも私が10年モータースポーツを続けてきたのはこの考えがあったからに他なりません。皆様はいかがでしょうか?
最後はやや脱線気味でしたが今回はここまでにしたいと思います。まだまだブログの方向性としては手探りの状態なので、皆様からこういった内容が聞きたいとか、あるいは質問に答えて欲しいなどあれば是非リクエストいただけると嬉しいです。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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